ウクライナの原子力発電所の状況

ウクライナの原子力発電所の状況
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ウクライナへのロシアの侵攻から始まり、第二次世界大戦以降で最大の危機と言われる戦争へと発展する様相を呈してしまった最中、1986年4月26日の原発事故後、廃炉中ながら炉内には200トンの燃料が残るチェルノブイリ原発と欧州最大規模のザポロジェ原発がロシア軍に征圧されてしまっている。しかも、チェルノブイリ原発で唯一残っていた外部電源が切断され、放射能漏れが危ぶまれる事態となったという。

 

しかし、3月9日付のIAEA事務局長声明によると、プール内には十分な量の冷却水があることから、電力供給がなくても使用済燃料の効果的な熱除去を維持できるという。

 

一方、ロシア軍の征圧下、更に放射線安全において極めて困難で厳しい状況下に置かれたスタッフの状況は悪化しているというのだ。

 

戦禍に置かれ、ロシア軍に立ち向かうウクライナのゼレンスキー大統領をはじめとするすべてのウクライナ国民、そして平和を愛する全ての世界の人々に和平を取り戻せる日が一日でも早く訪れることを祈る。

 

以下は、「ウクライナの原子力発電所の状況 3月6日-(現地時間)(第2週報)|一般社団法人 日本原子力産業協会」より

◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 更新16 2022年3月9日(IAEA声明仮訳)

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、ウクライナが本日、国際原子力機関(IAEA)に対し、2週間前にロシア軍が現場を掌握したチェルノブイリ原子力発電所が送電網から切り離され、外部電源の供給が喪失しているとの報告があったことを発表した。

事務局長は、ウクライナの状況が安全やセキュリティ、保障措置に及ぼす影響に対処するために招集された3月2日のIAEA理事会で概説した「すべての原子力サイトで、外部電源(送電網)からの電力が確実に供給されること」は、原子力安全とセキュリティに不可欠な7つの柱のうちの1つであるとして、今回の進展に深い懸念を表明した。

しかし、グロッシー事務局長は、チェルノブイリ原子力発電所の場合、送電網からの切り離しが、さまざまな放射性廃棄物管理施設がある同発電所の本質的な安全機能に重大な影響を与えることはないとの見解で、IAEAとウクライナの規制当局が一致したと述べた。具体的には、サイトの使用済燃料貯蔵施設について、プール内の冷却水の量は、電力供給がなくても使用済燃料の効果的な熱除去を維持するのに十分な量であるという。また、敷地内にはディーゼル発電機とバッテリーによる非常用電源の予備電源がある。

しかし、電力不足はサイトの放射線安全をさらに悪化させ、過去2週間ローテーションができず、事実上24時間サイトで生活している約210人の技術専門家や警備員にさらなるストレスを与える可能性があると、グロッシー事務局長は付け加えた。

グロッシー事務局長は、「チェルノブイリ原子力発電所の状況は日々悪化しており、特に放射線安全や極めて困難で厳しい状況下で施設を管理しているスタッフの状況は悪化している。発電所を実効支配している勢力に対し、内部の放射線防護手順を尊重し、スタッフの安全なローテーションを促進し、安全を確保するためのその他の重要な措置をとるよう、緊急に繰り返し訴える」と述べた。

◉ウクライナの原子力発電所の状況 3月6日-(現地時間)(第2週報)|一般社団法人 日本原子力産業協会

https://www.jaif.or.jp/information/ukraine_npps_2

 

◉一般社団法人 日本原子力産業協会

https://www.jaif.or.jp/